個別労働紛争解決制度

都道府県労働局では、個別労働紛争解決援助制度として下記の3つを用意しています。

・総合労働相談コーナーにおける情報提供・相談

・都道府県労働局長による助言・指導

・紛争調整委員会によるあっせん

 

このうち、あっせんに関しては、当事務所でお手伝いができますので、こちらについてご紹介します。

 

紛争調整委員会によるあっせん

 

 「紛争調整委員会によるあっせん」とは、会社と労働者との間のトラブル(個別労働関係紛争)について、公正中立な立場であるあっせん委員が、双方から事情を聴いたうえで、話し合いにより双方が納得いく解決を目指す方法です。

 あっせんでは、あっせん委員がそれぞれの当事者から個別に事情や主張を聴く過程を積み重ねていき、和解案を提示するなどして、双方の歩み寄りによる解決を促していきます。

 ただし、双方からの歩み寄りが見られなければ、残念ながら不調(打切り)になる場合もあります。

 

◎あっせんの特徴

 1.労働問題に関するあらゆる分野の紛争(募集・採用によるものを除く)が対象となります。

   (例)

     ・解雇、雇止め、配置転換、出向、昇進・昇格、労働条件の不利益変更等、労働条件

      に関する紛争

     ・パワーハラスメント、いじめ・嫌がらせ等の職場環境に関する紛争

     ・労働契約の承継、同業他社への就業禁止等の労働契約に関する紛争

     ・その他、退職に伴う研修費用の返還、営業車等会社所有物の破損に係る損害賠償を

      めぐる紛争

     など

 2.多くの時間と費用を要する裁判に比べて手続きが迅速かつ簡便です。

 3.弁護士、大学教授等、労働問題の専門家である紛争調整委員会の委員が担当します。

 4.あっせんを受けるのに費用がかかりません。

 5.紛争当事者間であっせん案に合意した場合には、受諾されたあっせん案は民法上の和解

   契約の効力をもつことになります。

 6.あっせんの手続きは非公開であり、紛争当事者のプライバシーを保護します。

 7.労働者があっせんの申請をしたことを理由として、事業主が労働者に対して解雇その他

   不利益な取扱いをすることは法律で禁止されています。

 

◎あっせんと裁判の違い

 裁判は、一般的には解決まで長期間を要し多額の費用もかかるなど、利用者にとって大きな負担となるケースが少なくありません。また、裁判は原則として公開にて行われます。

 これに対してあっせんは、裁判と比べると簡易・迅速な手続きが可能です。また、あっせんは非公開で行われます。

 一方で、あっせんは紛争当事者双方の話し合いにより解決を目指す方法です。このため、双方の主張(言い分)が大きく異なっている場合などにおいては、話し合いによる解決が難しい場合もあります。

このほか、裁判は事実認定したり、当事者双方に一定の強制力を有していますが、あっせんの場合には、双方の同意を基本としているため、裁判とは異なることもあります。

 

 

例えば、下記のような労働者がいたとします。

 

ある運送会社のドライバーとして勤務していたが、退職時に、仕事中に傷つけたトラックの修理代を請求されたためあっせんを申請した。

 

このような場合、紛争調整委員会によるあっせん制度の利用が有効です。

 

ポイントは、

・金銭解決を望んでいること

・申し出る労働者が退職していること

です。

 

申し出る方法については、下記のようになります。

 

STEP1   総合労働相談コーナーへの相談

        お勤めの会社の住所を管轄する労働局または労働基準監督署の総合労働相談

        コーナーに行き、総合労働相談員に相談します。

        その際は、契約書、就業規則など、会社との関係がわかる書類をコピーして

        持参した方が相談がしやすいと思います。


STEP2   「あっせん」の申し出

        「紛争調整委員会のあっせんをお願いします。」と申し出ると、相談員から

        あっせんに関する説明や注意事項を聞くことができます。

        最終的にあっせんを希望する場合には申請書をもらって下さい。

        申請書はA4サイズで、申請書にはあっせんを求める内容や理由、経過に

        ついて記入します。

        手書きで記入して提出しても良いですし、パソコンで作成することができる

        のであれば、後日提出でも問題ありません。


STEP3   あっせん申請書の提出

        あっせん申請書を提出すれば完了です。

        労働基準監督署で手続きを行った場合には労働局に転送され、後日、紛争

        調整委員会 から会社の社長宛にあっせんを開始するという書面を送られます。

        回答期日を決めて、会社にあっせんに参加するかしないかの回答をもらいます。


 

私は特定社会保険労務士の付記をしており、例えば、代理人としてのあっせん参加や申請書作成のお手伝いなどを行うことができますので、一人で話を進めることに不安がある方はお気軽にお問い合わせください。

都道府県労働局長による助言・指導

 

「都道府県労働局長による助言・指導」とは、紛争当事者からの求めがあった場合、都道府県労働局長が民事上の個別労働紛争の問題点を指摘し、解決の方向性を示唆することにより、紛争当事者が自主的に紛争を解決することを促進する制度です。なお、この制度は、紛争当事者に一定の措置の実施を強制するものではありません。

 

要は個別労働紛争の解決のお手伝いをしますが、強制的に何かを指示する制度ではなく、自主的な解決を図る制度だということです。

 

例えば、下記のような労働者がいたとします。

 

現在、派遣労働者として勤務。派遣先の上司から「どういう育ち方をすればこうなるんだ」とか「ふざけてんじゃねえぞ」等の人格を否定されるような暴言を日常的に受けた。派遣元の担当者に相談したが、派遣元は派遣先の仕事を多く請け負っているため、今後の契約のことも考えているのか嫌がらせをやめるように派遣先に働きかけてくれない。今後も派遣先で働き続けたいと考えているので、職場環境の改善を求めたい

 

このような場合、都道府県労働局長による助言・指導制度の利用が有効です。

 

重要な点は、

・現在働いている職場環境を改善して欲しいと求めていること

・金銭解決を望んでいないこと(慰謝料の請求の話をするのであれば、この制度は利用できません)

・申し出る労働者が在職していること(退職者は部外者なので職場環境の改善は申し出られません)

です。

 

申し出る方法については、下記のようになります。

 

STEP1   総合労働相談コーナーへの相談

        お勤めの会社の住所を管轄する労働局または労働基準監督署の総合労働相談

        コーナーに行き、総合労働相談員に相談します。

        その際は、契約書、就業規則など、会社との関係がわかる書類をコピーして

        持参した方が相談がしやすいと思います。


STEP2   「助言・指導」の申し出

        「労働局長の助言・指導をお願いします。」と申し出ると、助言・指導に

        関する説明や注意事項が相談員からあります。

        最終的に助言・指導を希望する場合には申請書を持ってきてくれます。

        申請書はA4サイズですで、求める内容や理由、経過について記入します。

        手書きで記入して提出しても良いですし、パソコンで作成することができる

        のであれば、後日提出でも問題ありません。


STEP3   申請書の提出

        申請書を提出すれば完了です。

        労働基準監督署で手続した場合は労働局に転送され、後日、労働局の担当者

        から連絡があり、助言・指導の内容についての確認をされます。その後、

        労働局から会社に対して「助言・指導の申出があったのでお話を聞かせて

        ください。」と連絡します。

        あとは、会社から話を聞いて助言・指導を行う流れになります。


 

一人で話を進めることに不安がある方はお気軽にお問い合わせください。