労働者個人と会社の間のトラブルとは、
例えば、
「何の説明もなく、突然給料を大幅に引き下げられた」
「退職の申し出をしたところ、仕事中に傷をつけた社用車の修理代を全額請求された」
「社長から突然解雇を通告され、話し合いにも応じてもらえず、納得がいかない」
「勤務先の店長から長い期間にわたって言葉による嫌がらせを受け、精神的苦痛を受けて退職せざるを得なかった」
「募集時の労働条件と採用後の実際の労働条件が著しく異なっている」
など、さまざまな内容があります。
これまでは、職場でトラブルが起きた際には「会社の方が立場が上だから」とあきらめたり、「どうしても白黒をつけたい場合には労働審判や裁判をするしかない」と考えるのが一般的でした。労働審判や裁判をするにしても、時間や労力、費用がかかる上に、互いに傷つけ合ったり、長期間にわたって過去の出来事を思い出したりしないといけないことになり精神的にも苦痛を伴うものでした。
しかし、最近ではこれらのトラブルの解決手段として「話し合い」によって解決を目指す「あっせん」という制度が活用されるようになってきました。あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、令和元年度に各都道府県労働局に申請されたあっせん件数は、全国で年間5,000件を超えていて、徐々に認知され活用されてきています。
「あっせん」とは、トラブルを抱えた労働者個人と事業主(紛争当事者といいます)の間に、公平・中立な第三者として、弁護士、大学教授など、様々な労働問題を扱ってきた専門家(あっせん委員)が入って、労働者と事業主の話し合いを促進し、解決を目指す制度です。
強制力はありませんが、あっせんの手続き自体は簡単で、費用も無料か、もしくはごく少額で、もちろん秘密は厳守されます。
あっせんは、都道府県労働局、都道府県社会保険労務士会、都道府県労働委員会などが行っています。
1)裁判と比べて時間と費用がかかりません。
原則として1回(1日)の手続きで終わります。費用も無料もしくは手数料程度の負担です。
2)プライバシーが確保されます。
あっせんは、裁判とは異なり非公開で行われますので安心して利用できます。
3)労使双方からの申立てが可能です。
紛争解決を目指す気持ちがあれば、労働者、会社どちらからでも申立てが可能です。
4)相手と顔を合わせずに話し合いができます。
あっせん当日は相手方とは控室も別で、話し合いも間に専門家が入って交代でお互いの主張を相手に伝えます。
あっせんをお勧めする理由は、裁判は嫌なことを思い出しながら証拠を集める時間、労力を割いたり費用をかけて勝ち負けを争うため精神的にも長くつらい思いをする必要がありますが、あっせんで早期に話し合いをすることによって、早く相手方のことを忘れ、将来に向かっての新しい第一歩を少しでも早く踏み出して欲しいからです。
相手と直接顔を合わせることなく話し合いができるのもお勧めする理由の一つで、あっせんの場では精神的にもリラックスして話すことができます。
あっせんの申立ては本人が直接行うことができますが、特定社会保険労務士(※)や弁護士などの専門家の力を借りて代理人、補佐人として依頼することもできます。
当事務所があっせん代理人を受任した場合は、特定社会保険労務士が次の業務を行います。
1)あっせん申請書等の書類作成事務手続きの代理・提出
あっせんを申立てるには、都道府県労働局等のあっせん機関に「あっせん申請書」を提出する必要があります。
紛争の経過をお聞きし、紛争内容を整理してあっせん機関に受理されやすい申請書を作成します。
2)主張・陳述の代理
あっせん開始後、必要に応じて相手方との和解交渉、あっせん当日の主張・陳述の代理を行います。
3)あっせん和解案の選択、受託の代理
和解案が示された場合、その妥当性を判断し和解の可否の選択を行います。また、解決の場合、希望により和解合意書の署名、押印を行います。
(※)特定社会保険労務士とは、
社会保険労務士のうち、所定の研修を受けた後、「紛争解決手続き代理業務試験」に合格し、その旨の付記をしている者です。『特定』社会保険労務士でない社会保険労務士はあっせん代理人にはなれません。
特定社会保険労務士は、代理人としてあなたと一緒にあっせんに参加して意見を述べたり、あっせん申請時の申請書作成のお手伝いなどをしたりすることができますので、一人で話を進めることに不安がある方はお気軽にお問い合わせください。
やまもと社会保険労務士事務所
代表 特定社会保険労務士 山本 務
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